NFTを作るとき、どのブロックチェーンでNFTを発行するかを決める必要があります。
そしてそれぞれのブロックチェーンには各々特徴があるため、自分のNFTプロジェクトに合ったチェーンを選ぶ必要があります。
そこで「NFTを作りたいけど、どのブロックチェーンが自分に合っているかわからない」というNFTクリエイターに向けて、著者が実際にNFTコレクションを制作運営してみた経験から、NFT作成に使われる主なブロックチェーンの特徴とおすすめを紹介していきます。
この記事では以下のことがわかります。
- NFTとブロックチェーンの関係
- ブックチェーン選択の基準
- おすすめブロックチェーンとその特徴
- NFTマーケットプレイスが扱っているブロックチェーンの種類
NFTはブロックチェーン上で機能する

NFTを作成するには、どのブロックチェーンでNFTを発行するか決める必要があります。
なぜならNFTはNon-Fungible-Tokenつまり各ブロックチェーン上で発行されるトークンの一種だからです。
NFTとブロックチェーンの関係は道路と車をイメージするとわかりやすいかもしれません。
ブロックチェーンが道でNFTが車です。
例えばイーサリアムという道が世界中につながっていて、暗号通貨車やNFT車がウォレットという目的地に向けてビュンビュン走っています。
しかし、イーサリアム道はビットコイン道などの別の道にはつながっていません。
(バイパスが通っていることもありますが、乗り換えるのにお金がかかったり、時間がかかったり、手続きが面倒だったりします。)
イーサリアム道にある工場で作られたNFT車は、イーサリアム道につながっている場所にしか行き着けないのです。
だからNFT車を作るとき、あらかじめどこにつながっている道を走らせたいか、つまりブロックチェーンを選択する必要があるのです。
ブロックチェーンを選ぶ5つの基準

NFTを作ることのできるブロックチェーンはいくつも存在します。
そこでNFTクリエイターがどういった所に注目してブロックチェーンを選択したらよいかについて解説します。
ユーザー数
そのブロックチェーンを使っている人がどれ位いるかはとても重要です。
人がたくさんいるところで商品を売れば、誰かが商品を買ってくれる確率は高まります。
逆に人がいないところで商品を売っても、誰にも届きません。
ガス代
NFTの発行や売買を行うさいにはガス代という手数料がかかります。
このガス代はブロックチェーンの種類によって非常に高かったり、逆にほとんどかからなかったりします。
トランザクションの速さ
トランザクションとは処理を意味します。
取引が完了するまでの処理スピードは各ブロックチェーンの間で違いが出ます。
暗号通貨の手に入れやすさ
NFTを作成、売買するときに発生する手数料(ガス代)は、暗号通貨で支払われます。
そしてこのとき必要になる暗号通貨の種類はなんでもよいわけではなく、NFTを作成したブロックチェーン上で発行されている暗号通貨が必要です。
イーサリアムでNFTを作るならイーサ、ソラナで作るならソルが必要になります。
ブロックチェーンプロジェクトの将来性
各ブロックチェーンは作られた背景や現在置かれている状況がそれぞれ異なります。
例えば、ビットコインは純度の高い自律分散型のシステムを実現していますが、他のブロックチェーンでは中央集権的な体制をとっていることもあります。そのような場合、仮に中央組織の経営が立ち行かなくなるとブロックチェーン上のサービスを利用できなくなるかもしれません。
また、Terra/LUNAのように暗号通貨が何らかのきっかけで大暴落を起こし、ブロックチェーンプロジェクトが崩壊の危機に瀕してしまう場合もあります。そのような状況になれば、NFT作品を安心して売買できなくなってしまいます。
ブロックチェーンの将来性はNFT作品の今後を考える上で重要なのです。
価値が安定した暗号通貨(ステーブルコイン)による、世界規模の決済サービスを提供するプロジェクト。
2022年5月に大暴落し、価格が99%以上下落。
現在は復興プロジェクトが進められている。
NFTに使用されるブロックチェーンの種類と特徴

ここではNFTの発行数や取引量の多い代表的なブロックチェーンを3つご紹介します。
イーサリアム (Ethereum)
2015年に運用が開始されたチェーンで、スマートコントラクトを実装したブロックチェーンとして業界の先駆者的な存在です。知名度も高く、ビットコインに次ぐ時価総額を誇っています。
NFT市場で圧倒的な人気を誇っており、記録的な取引の多くはイーサリアムで行われてきました。
しかしその人気ゆえ、ネットワークが混雑しやすく取引完了に時間がかかったり、ガス代が高額になる場合があります。
イーサリアムの特徴
- 知名度が高く、ユーザー数が多い。
- NFTの取引量が他のチェーンに比べ圧倒的。
- 国内外のほとんどの取引所でイーサリアムの暗号通貨イーサを売買できる。
- ガス代が高い。
- チェーンが混むとトランザクションに時間がかかる場合がある。
- 膨大な数のNFT作品があり、自分の作品が埋もれてしまうかも。
ポリゴン (Polygon)
ポリゴンはイーサリアムのスケーラビリティー問題(ガス代の高騰やトランザクション速度の低下)を解決し、機能をより拡張するために作られたブロックチェーンです。
イーサリアムとの互換性を持ちながら、大幅なガス代の削減とトランザクションの高速化に成功しています。
ポリゴンの特徴
- ガス代が安い。
- トランザクションが早い。
- ガス代が安い分、安価にNFTを作成できるので、スパムNFTなどあやしいものもあり、よくないイメージを持つ方も……。
- ポリゴンの暗号通貨マティックを売買できる国内の通り引き所が限られている。
ソラナ (Solana)
2020年に新たに登場し、急成長を遂げたブロックチェーンです。
独自のコンセンサスアルゴリズムProof-of-Historyを採用しており、高いトランザクション性能を有しています。圧倒的な処理速度とガス代の低さを実現し、イーサリアムを越える存在になるのではないかと注目されています。
しかし一方で、過度のトランザクションの発生により、2022年5月1日にネットワークがクラッシュし、稼働停止状態に陥っています。
また同年6月1日にもバグによる稼働停止が起きており、安定性に不安があるとの声もあります。
ソラナの特徴
- NFTの取引量がイーサリアムにつぐボリューム。
- ガス代が安い。
- トランザクションが早い。
- 安定性に不安が残る。
- ソラナの暗号通貨ソルを売買できる国内の取引所が限られている。
マーケットプレイスが扱うブロックチェーンの種類
NFTを売買できるマーケットプレイスはいくつも存在しています。
そしてそれぞれのマーケットプレイスで取り扱っているブロックチェーンの種類が異なります。
利用したいマーケットプレイスがどのブロックチェーンに対応しているかチェックしておきましょう。
主要なマーケットプレイスが対応してるブロックチェーンを表にまとめました。
マーケットプレイス | ブロックチェーン |
OpenSea | Ethereum・Solana・Polygon・Avalanche・Klaytn・Optimism・Arbitrum |
Rarible | Ethereum・Solana・Polygon・Tezos |
Foundation | Ethereum |
MagicEden | Ethereum・Solana |
SuperRare | Ethereum・SuperRare |
X2Y2 | Ethereum |
SolSea | Solana |

ほとんどのマーケットプレイスがイーサリアムに対応していますね。
初心者クリエイターにおすすめのブロックチェーン

各ブロックチェーンの性能や理念にこだわりがなければ、2022年11月時点でのおすすめはイーサリアムです。
以前であれば、イーサリアムのガス代が今よりも高騰していたため、まずはポリゴンのようにガス代が安いチェーンで初めてみるのも選択肢でしたが、現在はイーサリアムのガス代は落ち着いています。
であれば、ユーザーが多く、知名度やブランド力もあるイーサリアムが候補の筆頭です。
ただ、それでもポリゴンやソラナのガス代はイーサリアムのガス代と比べて桁違いに安いので、現在の価格でも高いと感じる方は、イーサリアム以外を検討してみてください。
まとめ
- NFTを作るにはどのブロックチェーンでNFTを発行するか決める必要がある。
- NFTを作ることのできるブロックチェーンはいくつも存在する。
- ブロックチェーンにはそれぞれ異なった特徴がある。
- マーケットプレイスによって取り扱っているブロックチェーンが異なる。
- 初心者におすすめのブロックチェーンはイーサリアム(2022年11月時点)